皆さんは、「お寺やお仏壇で使用されている音の鳴る仏具」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?おリンや木魚、除夜の鐘でお馴染みの梵鐘など、仏教では様々な種類の『鳴り物』を使用します。しかも、ご宗派によって使用する仏具は様々で、音を鳴らす目的も異なります。この鳴り物シリーズでは、普段何気なく鳴らしている仏具のルーツや使用される目的などを分かりやすくお伝えしていきます!
シリーズ第1回目は『木魚』です。丸い魚の形をした仏具を叩いた時のポクポクという音を、誰もが1度は聞かれたことがあるのではないでしょうか?木魚はお経を読むときにリズムを取るために使用される仏具で、浄土真宗以外の宗派で使用されます。また眠気覚ましの意味もあり、「眠るときも目を閉じない魚のように、寝る間も惜しんで修行しなさい」という理由で魚の形をしているのだと言われています。浄土真宗で木魚が使用されないのは、浄土真宗には「寝る間を惜しんで修行しなさい」という教えが無いためです。
元々は『魚板』という魚の形をした仏具が原型と言われています。古くは人を集めるときに叩く鐘のような役割でした。江戸時代初期、中国から招へいされた臨済宗の隠元隆琦が日本に伝え広めました。現在は黄檗宗の総本山である萬福寺などで見られることができます。
最初は人を集めるための道具だったのが、修行中の眠気覚ましやお経のリズムを取るためのものへと変化していきました。皆さんも今後ポクポクという音を訊く機会がありましたら、このお話を思い出して少し背筋を伸ばしてみてはいかがでしょうか。 |