「お盆」の起源のお話をお届けしたいと思います。
このお話は、動画も作成しております。
YouTubeの“大越仏壇チャンネル”でご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=4F3zJhD7fnE
お盆という呼び名は、「ウランバーナ」という古代インドのサンスクリット語に由来します。
ウランバーナを音写したものが「盂蘭盆」。そしてウランバーナとは、逆さ吊りという意味です。逆さ吊りとお盆、この、2つの言葉のちょっと不思議なつながりは、盂蘭盆経というお経の中で語られています。時代は今から2500年以上前。お釈迦様が悟りを開き、苦しむ人々を救うための教えを伝えていた古代インドの時代に遡ります。
お釈迦様のお弟子さまたちの中でも、特に偉大な10人のお弟子さまの中の一人、目連(もくれん)さまは神通力という超能力の持ち主で世界中を見渡す力がありました。目連様にはとても自分をかわいがってくれた優しいお母様がおられたのですが、ある日、お母様がお亡くなりになられます。優しかったお母様のことが忘れられない目連様が、死後の世界のお母様に会おうと神通力で極楽浄土を探してみましたが、どこにもお母様の姿は見当たりません。目連様はあきらめずに様々な世界を探し続けたところ、なんとお母様は骨と皮にやせ衰えて、地獄の中の餓鬼道という世界に落ちていて、そこで逆さ吊りにされていたのです。飢えて苦しむお母さまがあまりに不憫だと思い、目連様が食べ物を差し上げようとしても、食べ物はお母様の口に入る前に炎に包まれ燃えて消えてしまい、余計にお母様を苦しませるだけでした。
お母様は生前、目連様をかわいがるあまり、おいしい食べ物が手に入ると、他の子には隠すようにして目連様に与えていたのです。そのため、「むさぼりの心」の報いとして餓鬼道に落とされてしまっていたのです。目連様はお釈迦様に「どうすれば母は救われるのでしょうか?」と救いを求めたところ、「お母さまを救うためには、夏の修業を終えた全ての修行僧たちに、分け隔てなく食べ物などを分け与え、精いっぱいの供養をしなさい」と言われました。
お釈迦様に言われた通り、目連様は修行僧たちに食べ物などを振る舞い、盛大に法要を営み、一生懸命仏法を聴きました。すると、お母様はたちまち餓鬼道の苦しみから解放されました。
この8月15日、旧暦では7月15日に行われた法要がお盆の起源となりました。また、この時うれしさのあまり目連様は躍り上がってよろこんだことから、盆踊りが始まったと言われます。わが子可愛さのあまり、餓鬼道に落ちてしまったお母様。その原因となったのは自分自身だと気づいた目連様はどんなに苦しかったことでしょう。そして、目連様は母を救うためには自分自身が三法(仏法僧)に帰依し、正しい道を歩んでいくこと以外にないと気づくのです。
日本のお盆は、住んでいる地域や宗派によって考え方はそれぞれ異なりますが、大切なのはご先祖様に感謝して、生きている我々自身がすべての人々に平等に優しく接し、正しく生きていくことを誓い、仏の教えをしっかり聞いていくことなのです。この動画がお盆でお集まりになられたご家族やご親族、お子様たちにお盆の起源の豆知識を教えながら、利他の精神、博愛の心、仏の教えを伝えるきっかけとなれば幸いです。 |