輪島塗の塗り工程

輪島塗の特長は塗りが堅牢であることです。

堅いために破損しても木地まで至る深い傷になりにくく塗り直して代々使えます。

その塗りを作りあげるための下地の技法、下地工程の多さが輪島塗の最大の特長です。

ここでは輪島塗の工程をご説明します。

工程名 内容
木地固め 木地に漆を染みこませ、木地を固める
木地磨き 砥石で木地を磨き、漆の食いつきをよくする。
布着せ 漆を染みこませた紗をはり、木地を補強する。
着せ物切り 布の不要な部分を取り去る。
一返地 一辺地漆を塗る。一辺地漆は、地の粉(焼成珪藻土)と漆と米糊を混ぜたもの。
粘性が強く、ヘラで押さえつける。
一返地研ぎ 砥石で研ぐ
ニ返地 二辺地粉(地の粉の粒子が細かい)を使った二辺地漆をぬる。
一辺地→二辺地→三辺地と粒子が細かくなる。
二辺地研ぎ 砥石で研ぐ
三辺地 三辺地漆を塗る
三返地研ぎ 砥石で研ぐ
めすり さび漆を薄く塗り塗り肌を細かくする。
地研ぎ 砥石で水研ぎする。
中塗り 全体に中塗り漆を刷毛(はけ)で塗る。塗師風呂で乾燥
中研ぎ 砥石で水研ぎ
拭き上げ  青砥石で水研ぎ、油分を拭きあげる。
上塗り

ゴミやほこりを避ける為、塗師部屋で仕上げる。
乾燥にはゴミやほこりが付かないように注意する。適温適湿が条件です。 

 呂色  真塗りの状態から塗り面を鏡面のように磨き上げる技法。
加飾  
蒔絵

 漆で絵を描き、その上に金粉などを蒔き固まったあと更に漆を塗り
固まったら磨き上げる。

沈金  漆面をのみで削り、削った線で絵を描く。削った線部分に漆を入れ
その上から金箔を入れ乾いた後に線以外の金箔を拭き上げる。

 輪島塗の工程をご覧ください。(クリックすると写真が出ます)
 1)木地から木地磨きまで
       ↓
 2)布着せから一辺地付けまで
       ↓
 3)空研ぎから地研ぎまで
       ↓
 4)地固めから小中塗りまで
       ↓
 5)小中塗研ぎから上塗りまで
       ↓
 6)上塗り研ぎから加飾まで

 

伝統技法の下地には3種類あります。

 ①:一般的な伝統技法はニカワと砥の粉を混ぜた「半田地」の下地。(泥地ともいう)

 ②:①よりも湿気に強い伝統技法は漆と砥の粉を混ぜた「型地」の下地。

 ③:輪島塗は“地の粉と漆”を混ぜた「本堅地」の下地。輪島塗は下地塗りを三回行う。

 

伝統技法による下地3種類の堅さ、湿気に対する強さの比較をすると

 ①ニカワ+砥の粉の下地(半田地) < ②砥の粉+漆(堅地) <③地の粉+漆(本堅地)

になります。

関連リンク: 輪島塗仏壇のご紹介